父親が忙しく、あまり家庭に関われない分まで
愛情を注いできました。
料理や、家事にも、大きな落ち度はなかったと思います。
もちろん、父親が忙しいというのは、
何かしらの不自由を感じさせる事実かもしれませんが、
おそらく我が家において、それは大きな問題ではなかったと思います。
ところが、やっと入った高校で、
新しいスタートを切ってからというもの、
私は、我が子のことがどんどんわからなくなっていきました。
このころから既に彼女の心は孤独の中にあったのでしょう。
最初のころは、なんとなく落ち込んでいるな、とは思うものの、
それほどに暗い顔をして過ごすわけでもなく、
それまでと大きな違いは無いように思いました。
ところが、気が付いた時には高校を中退していたのです。
理由を聞いても説明はほとんどなく、
ただ「行きたくない」と言っているだけのように思えました。
そのうちに、出かけることもほとんどなくなり、
部屋から出てこない孤独な日々が続きました。
彼女は生きるという事自体に悩んでしまっているようでした。
高校を中退したものの、新しい目標があるわけでもなく、
忙しくする理由もなく、
ただ何となく毎日を過ごす自分と、
学校で日々を重ねる同級生たちを比べて、
孤独感を募らせていくばかりでした。
孤独から救ってあげたい…。
しかし、私がいくら話しかけても距離をとるばかりで、
親として、どうしていいかわからず、
ただ空回りするだけの、もどかしい日々が続いていました。
友人に相談すると、
この状況はひきこもりではないのか?と言われました。
私は、それまで戸惑うばかりで、
客観的に見た現実が、そこまでになっていることに気が付いていませんでした。
指摘されたことで、まず、現状を冷静に把握しなければならないと考え、
今どうなっているのか、
これからどうするべきなのかを考えました。
親としての凝り固まった価値観を一度捨てて、
冷静になるという事は、
もしかしたらそれまで一度もやったことがなかったかもしれません。
「親」という役割を超えて、
我が子を理解しようとしたとき、自分だけではなく、
お互いの価値観の存在を認識しなければならないという事に気が付きました。
今思えば、
それこそが、私と子の新しい「はじまり」だったのだと思います。